これを読めばOK !素材別うつわのお手入れガイド
私たちの食卓を彩るうつわたち。
お気に入りの陶器、特別な日の漆器、そして毎日使うガラス食器は、適切な手入れをすることで、その美しさを保ち、長く愛用できるのです。

しかし、素材によってお手入れ方法は全く異なり、間違った方法を続けると、貫入へのシミ、漆の剥げ、ガラスの曇りといったトラブルの原因になります。
この記事では、食器ライターであり整理収納アドバイザーの私が、陶器、漆器、ガラス食器それぞれの具体的な悩み別に、プロが実践するお手入れの基本と、美しさを保つための保管方法を完全ガイドします。
1.「陶器」のお手入れ方法
陶器は、土を焼いて作られるため、素地に微細な穴があり、吸水性が高いのが特徴。
この吸水性は、陶器ならではの温かい風合いを生みますが、シミやカビの原因にもなります。

陶器の貫入(ひび)を防ぐには?
陶器の表面の釉薬に入った細かいひび割れを「貫入(かんにゅう)」といいます。
このひびに煮汁や油が染み込むと、黒ずみや匂いの原因になります。
■日常のお手入れ
料理を盛り付ける前に、さっと水に浸し、器に水分を吸わせておきましょう。
煮汁や油分が染み込みにくくなります。
しかし、土鍋など「目止め」が必要なうつわもあります。

目止めってどうやるの?目止めの方法を分かりやすく解説
目止めは、デンプン質で器の表面をコーティングするため、以下の手順で行います。
1.準備
器が完全に浸る大きめの鍋に、米のとぎ汁(なければ水に小麦粉または片栗粉大さじ5杯程度)を入れます。あれば炊いたご飯を一握り加えると効果的です。
2.煮沸
器を鍋に入れ、弱火から中火でゆっくりと加熱。
*注意:急に熱すると割れる原因になります。
3.浸け置き
沸騰する直前で火を弱め、ゆるいお粥のような状態になったら火を止めます。
そのまま半日~一晩冷めるまで浸け置きます。
4.仕上げ: 器を取り出し、水洗いしてよく乾かします。
陶器の洗い方とカビ防止の保管
・洗剤: 中性洗剤と柔らかいスポンジで優しく洗いましょう。
・浸け置き: 長時間水やお湯に浸け置くのは厳禁
吸水性が高いため、水分を吸収しすぎるとカビや匂いの原因になります。
・乾燥: 洗った後は、十分に自然乾燥させてから食器棚にしまいます。
湿気が残っていると、カビが生える原因になります。
2.「漆器」のお手入れ

漆器(しっき)は、木地に漆を塗り重ねたもの。
軽くて口当たりが良く、何代にも渡って使える日本の美しい工芸品です。
漆器の扱いは難しいと思われがちですが、実は意外と簡単なのです。
漆器の正しい洗い方と注意点
漆の塗膜は意外にデリケート。以下の点に注意して洗いましょう。
・洗剤・スポンジ
台所用中性洗剤と柔らかいスポンジ(または布)を使用。
クレンザー、タワシ、研磨剤入りスポンジは、漆を傷つけるため厳禁です。
・別洗い
陶器やガラス、先の尖った金属器と一緒に洗うと、傷がつく可能性があります。
なるべく別にして洗ってください。
・浸け置き
長時間、水やお湯につけたまま放置しないでください。
木地が水分を吸い込み、剥げや変形、割れの原因になります。
・熱湯は厳禁
ぬるま湯程度なら問題ありませんが、熱湯を使うと漆が変色する恐れがあります。
・食器洗浄機・乾燥機
絶対に使用しないでください
急激な温度変化と乾燥は、漆器の歪みやひび割れ、塗りの剥がれにつながります。
ただ、最近は使用できる商品もあるので、説明書の使用方法をチェックしましょう。
漆器の乾燥とカビ・乾燥から守る保管方法
漆器は「極度の乾燥」と「湿気」を嫌います。
・拭き上げ
洗った後は、自然乾燥させずにすぐに柔らかい布巾で水分を拭き取ります。
水滴の跡も残らず、日々の拭き上げが漆の艶を増します。
特に重箱の角やお椀の底など、水が溜まりやすい部分は念入りに拭きましょう。
・保管場所: 紫外線は塗膜によくないため、直射日光の当たらない食器棚に収納します。
・長期保管の工夫
長期間使わない場合は、食器棚の中に水の入ったコップなどを置いておくのが効果的。
極度な乾燥を防ぎ、ひび割れなどを防ぎます。
・カビが生えた場合: 柔らかな布に消毒用アルコールを含ませて拭き取ってから洗います。
3.「ガラス食器」のお手入れ
グラスやガラスの器の最大の悩みは、「くもり」です。
くもりの原因は、主に水垢(水道水のカルシウム沈着)と、油分(手垢や飲み物の成分)です。
ガラス食器を曇らせない洗い方と拭き方
・別洗いと注意点
陶器や金属器と触れ合うと傷がつくため、ガラス同士でまとめて洗うようにしましょう。
また、ガラスは急激な温度変化に弱いため、熱湯は厳禁です。
・洗剤: 食器用中性洗剤と柔らかいスポンジで優しく洗います。
研磨剤入りのクレンザーや塩素系漂白剤は曇りの原因になるため避けてください。
・水垢予防のすすぎ
洗剤が残らないようぬるま湯(または熱めのお湯)ですすぎます。
水切れが良くなり、水滴跡が残りにくくなります。
・拭き上げ
すすいだ後は、ケバ立ちにくい麻やマイクロファイバーの布巾で拭き上げましょう。
水分を残さないことが、くもり予防のポイントです。
ワイングラス専用の布巾を使うと楽ちん!

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くもりを取るレスキューケア
・水垢(白いウロコ状の曇り)に効く
水垢はアルカリ性なので、酸性のクエン酸を使います。
水200mlにクエン酸粉末小さじ1を溶かし、浸け置きしてから洗うと効果的です。
*クリスタルガラスには使用を避けてください。
・油汚れ(全体的なベタつきや曇り)に効く
油汚れは酸性なので、アルカリ性の重曹を使います。
ぬるま湯に重曹を溶かしてつけ置き洗いすることで、くもりを落とすことができます。
ガラスの正しい収納方法
・口を上向きに
グラスを伏せて収納すると、湿気がこもり曇りの原因になることがあります。
口を上に向けて収納しましょう。
・重ねる場合
ガラス同士が当たると傷の原因となるため、薄紙や布を挟んで重ねるようにします。
お店のように×収納もおすすめ!グラスがくもりにくいです。
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正しいお手入れ方法をマスターして、お気に入りを長く使おう
陶器の目止め、漆器の丁寧な拭き上げ、ガラス食器の水分除去。
どの素材も、少しの知識と手間をかけるだけで、その寿命と輝きは劇的に変わります。
うつわを大切にお手入れすることは、「モノを長く大切に使う」という豊かな暮らしにもつながります。ぜひ、このガイドを参考に、あなたのうつわを愛情をお手入れしてください。
お気に入りのうつわをいつまでも長く愛用しましょう!