うつわは何枚ずつ買えばいいの? 5枚セットの理由についても調べてみた
今回は、うつわ選びの悩みとして挙げられる「何枚買えばいいの?」という疑問について考えてみました。
私が受ける相談で一番多いのが「うつわのそろえ方」。その中でも、買いたいうつわは決めたけど、何枚買ったらいい?と聞かれることがあります。うつわは、消耗品でない生活必需品。さらに、スペースもとりますし、コストもかかります。(作家もののうつわなど、かなり高価なものもあります。)複数枚買うのに悩むのは当然のこと。
この記事では、うつわを新しくそろえる人、うつわ好きなら必ず直面するであろう「何枚買うべき」問題についてまとめました。これから、うつわを買う際の参考になればと思います。
うつわを買う枚数に正解はない
うつわをそろえる枚数については、正解はありません。そもそもバラで販売しているので1枚から買ってOK。家族分おそろいにしなくてはいけないルールはありません。
この記事を書くにあたり、食器屋さんや様々なメディアをリサーチした結果、うつわのそろえ方は以下のパターンに分かれることが分かりました。
1.基本は家族の人数分
基本は、家族の人数分買う方が多いようです。以前の記事で紹介しましたが、飯碗など基本のうつわを家族分そろえましょう。
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私も、夫婦2人の家族分買うことがほとんどです。2枚ずつそろえると、色違いやデザイン違いのうつわを組み合わせて、4人、6人テーブルのコーディネートもできます。少ないうつわでいろいろなコーディネートを楽しむことができるので、個人的にはおススメです!
写真は、過去のテーブルウェアフェスティバルの展示作品。柄が違ううつわを2枚ずつ組み合わせています。うつわのブランド、カラーがそろっているので違和感がありません。
2.家族分プラス予備
割れた場合や来客用に、1,2枚余分に買うパターンもあります。4人家族で必ず5、6枚セットで買う人もいるそうです。レアな商品や買い足しが難しい商品なら、余分に買ってもいいかもしれません。
また、はじめからセット商品を選ぶのもいいですね。デパートのセールでは、有名なブランドや窯元のセットがリーズナブルに購入できることがあるので要チェックです。
3.ライフスタイルによって決める
自宅で教室をしている、週末に親戚が良く集まる、ホームパーティをよく開くなど、人がたくさん集まるご家庭であれば、取り分け用の大皿や取り皿、コップ類などがたくさんあるといいですね。
また、お酒が趣味なら、グラスや徳利を多く持つなど、趣味やライフスタイルによって必要なうつわの種類や枚数は変わります。また、よく食べるメニューのうつわを多くするなど(和食より洋食派なら、和食器は少なめ)毎日の献立を意識して選ぶのもいいと思います。
どんなライフスタイルにも合うのが、メニューを選ばず使える「モダン」なうつわ。老若男女問わずに、長く使える飽きないデザインのなのでギフトでも人気です。北欧ブランドや波佐見焼の「白山陶器」などは、オールマイティに使えます。
白山陶器のセット。同じものもセットで買うと、重ねることができ収納しやすいメリットがあります。
4.バラで買うのもあり
うつわ1枚ずつそろえるのもおすすめです。先日読んだ、料理家の中川たまさんの本では、バラのうつわばかりをそろえていました。でもその食卓がとっても美しいんです。理由は、ほぼ「白」で統一しているから。色やテイストがあえば、作家さんや産地が違ってもまとまってみえます。私もいろいろなうつわを使ってみたいので、初めての作家さんのものを買う時は1枚から買います。その際、持っているうつわと合うものを選ぶようにしています。
【調べてみました】和食器はなぜ5客セットで売られているの?
今回のテーマである「うつわは何枚ずつ買えばいい?」という疑問が起こる理由の1つが、セット販売にあるようです。特に和食器は5客セットの商品が多く、そろえて使うのが正式なの? と思ってしまうかもしれません。
そこで、なぜ5客で売られているのか調べてみたところ、以下の理由が挙げられます。
①おもてなしに必要な枚数だから
お客様をお迎えする際、ホストが2枚、ゲストが2枚、予備に1枚というのが、最低限度のおもてなしに必要な枚数であるという説。テーブルも4人掛けのサイズが多いので、なるほどと思ってしまいました。
②家族構成にあっているから
①の理由と似ていますが。4人家族で(少し前の家族のスタンダード)で、割れた際の予備にプラス1枚という考え。
③奇数は縁起がいいから
陰陽道(おんみょうどう)で奇数は「陽」、偶数は「陰」を表します。例えば、5節句は、3月3日(桃の節句)、5月5日(端午(たんご)の節句)、9月9日(重陽(ちょうよう))と、奇数の重なりです。御祝儀や香典を包むときも奇数にするのがマナーです。
また、陶器は結婚式で使われることが多く、「4」や「6」は「割り切れる」のでよくない。つまり、偶数は縁起が悪いという説もあります。
【関連】「陰陽五行説」
陰陽五行説とは陰陽説と五行説が組み合わされた中国思想のことで、特に五行説を起源としているといわれています。五行説とは世の中のものは木、火、土、金、水という5つの要素でできており、その循環によりあらゆる現象が起こるという考え方。5要素には色が当てられており、青、赤、黄、白、黒となります。
④茶道(茶会席)用の器は「5客1組」だったから
和食器は茶道とともに発展しました。1人の主人が、茶席で心をこめて客をもてなすことのできる最大限の人数が5人とされているためという説です。確かに、湯呑みは5客揃えの商品が多いですね。
洋食器が偶数なのはなぜ?
西洋では物を数えるのに12進法を使ってきました。また、西洋の社交は夫婦単位で行なわれるため、奇数では半端になってしまいます。正式な食器のセットは12組ですが、一般家庭では多すぎるため、6組で1セットとしたといわれています。同様に、スープをおいしく作るための最低限の単位が12人分で、多すぎるため半分になったという説もあります。
おまけ ~ こんなそろえ方もあります
様々な書籍で紹介されている「うつわのそろえ方」をまとめてみました。どれもそれなりの理由があり、納得感があります。うつわ選びの参考に読んでみてはいかがでしょう。
〇5ピースそろえる・クニエダヤスエさん
クニエダヤスエさんは、日本のテーブルコーディネーターの第1人者。クニエダさんが提唱する基本のうつわは、ディナー皿、サラダ皿、デザート皿、シリアルボウル、マグカップを基本の5ピース。3種類のサイズのお皿、深さのあるボウル、ドリンク用の食器の組み合わせはどんな料理にも使えて合理的です。
〇普段使いのうつわ5つで十分・江口恵子さん
料理研究家の江口恵子さんは、使い回しのきくうつわが5つあればいいという考え。5つとは、①プレート、②ケーキ皿、③中鉢、④飯碗、⑤汁椀。ケーキ皿はパン皿や取り皿に、中鉢は汁気のない麺類や丼にも使えるなど、1つのうつわが様々のメニューに使えます。
〇5枚ずつそろえる・勝間和代さん
勝間さんは、うつわを5枚ずつそろえています。ふだんは5枚で足りますが、来客時は5枚×2種類で10枚で対応してい。
おわりに
今回は、うつわを買う際の「枚数」に関する疑問についてまとめてみました。
うつわは「セットで買うもの」というのは昔の話。家族構成も暮らし方もさまざまな現在。家族の人数にとらわれず、好きなものを少しずつそろえてみませんか。お気に入りの1枚があるだけで、食事が楽しくなります。気に入ったものを1枚ずつ選んで、お気に入りに囲まれた食卓にしていきましょう!
この記事を書くことで、食器の数の理由には、日本と西洋の文化の違いがあることが分かったのは興味深かったです。これからもうつわに関する疑問について発信していきます。